アイアンマンのエロパロ、アーンイヤーンマン2について、ここ数日考えすぎていたので、もし推しカプがそれをアイアンマン2だと思い込んで観たら……という、目的不明の小話です
旧社屋というものは、十年も経てば「旧」の字を二つ重ねてもなお足りぬほどに侘びる。埃は歴史の粉とも言うけれど、そこに落ちているディスクは歴史の粗忽であった。
手書きのラベルに踊る『ア~ンイヤ~ンマン2』の文字。読めぬのではない、読む気がない――それがダニエルという男の救いであり罪である。
「カネア様、今夜映画でも観ませんか。アイアンマンの2がありましたよ」
「アイアンマン? あたくし観たことないわ」
「宇宙旅行業に携わる者として、ヒーロー映画の教養は必要です」
それが必要だったかはさて置いて、二人はぬいぐるみを山と築いたソファへ沈み、旧式モニターに「教養」を映し出した。再生と同時にサックスが鳴り響いた。それはまるで、安物のコロンのように甘ったるく、ひどく粘着質な音色だった。
「……ダニエル」
「はい」
「これ、出だしがずいぶんムーディーね」
「アメリカ映画ですからね。雰囲気づくりが大事なんですよ」
場末のバーで絞り出したようなサックスが鳴り、画面の男女は互いの肌を探り合う。
「……」
「……」
黙する二人の耳にも、女優の「ア〜ン」が届く。
「……敵の攻撃でしょうね」と心にもない注釈を挟むダニエル。
アメリカ映画の敵は見えざる角度から来るらしい――かくして方便は続く。
「ダニエル」
「はい」
「アイアンマンのスーツは、いつ出てくるの」
「もうすぐですよ。きっとこの男の人が変身するんです」
変身はせず、ボタンが外れる。
「ダニエル」
「はい」
「この映画、戦闘シーンが長いわね」
「大作ですからね」
「それと、二人とも裸なのはどうして」
「……特殊なスーツなんですよ。肌に密着する系の」
「密着しすぎじゃない?」
「最新技術です」
そのうち第三の人物が加わり、戦闘はより複雑――いや、連携はより精緻となった。
「あら、新しいヒーローが来ましたわ」
「援軍ですね。チームものですから」
「チームワークって大事ね」
「ええ、連携が素晴らしい」
ヒーロー三者三様、目的はただ一つ。世界は救わず、ベッドを温める。ややあって画面が暗転し、締めのサックスが嘆息を漏らす。黒地に白い文字が滑り出た瞬間、ようやく映画が――いや、教養が――終わった。
「思っていたのと違ったけれど、あたくし、嫌いじゃなかったわ」
「そうですか」
「ただ、ロボットが思ったほど出てこなかったわね」
「……続編で増えるんでしょう」
「それと、誰が悪役だったのか、いまいち印象に残らなかったわ」
「……内面の葛藤を描く系の作品だったんですよ」
「なるほど。深い映画でしたわね…」
深さとは―― ――。
カネアの受容力は底なしであり、ダニエルの見え透いた弁解はすでに床下を突き破っていた。
「明日、お客様に聞かれたらおすすめするわ。『アイアンマン2、人間ドラマとして秀逸でしたわ』って」
「やめてください」
「どうして?」
「いえ、その、ネタバレになりますから」
「あら、そうね。配慮が足りなかったわ」
配慮とは往々にして、真実を隠す覆いである。
ダニエルがディスクを棚の闇に押し込みながら見上げた天井は、昔から雨漏り一つ変わらぬ灰色だった。嘘も雨漏りも、穴を塞ごうと慌てる前に、まずはバケツを置く場所を正確に覚えなければならない。彼の夜は、その算段で更けていくのだった。
畳む
旧社屋というものは、十年も経てば「旧」の字を二つ重ねてもなお足りぬほどに侘びる。埃は歴史の粉とも言うけれど、そこに落ちているディスクは歴史の粗忽であった。
手書きのラベルに踊る『ア~ンイヤ~ンマン2』の文字。読めぬのではない、読む気がない――それがダニエルという男の救いであり罪である。
「カネア様、今夜映画でも観ませんか。アイアンマンの2がありましたよ」
「アイアンマン? あたくし観たことないわ」
「宇宙旅行業に携わる者として、ヒーロー映画の教養は必要です」
それが必要だったかはさて置いて、二人はぬいぐるみを山と築いたソファへ沈み、旧式モニターに「教養」を映し出した。再生と同時にサックスが鳴り響いた。それはまるで、安物のコロンのように甘ったるく、ひどく粘着質な音色だった。
「……ダニエル」
「はい」
「これ、出だしがずいぶんムーディーね」
「アメリカ映画ですからね。雰囲気づくりが大事なんですよ」
場末のバーで絞り出したようなサックスが鳴り、画面の男女は互いの肌を探り合う。
「……」
「……」
黙する二人の耳にも、女優の「ア〜ン」が届く。
「……敵の攻撃でしょうね」と心にもない注釈を挟むダニエル。
アメリカ映画の敵は見えざる角度から来るらしい――かくして方便は続く。
「ダニエル」
「はい」
「アイアンマンのスーツは、いつ出てくるの」
「もうすぐですよ。きっとこの男の人が変身するんです」
変身はせず、ボタンが外れる。
「ダニエル」
「はい」
「この映画、戦闘シーンが長いわね」
「大作ですからね」
「それと、二人とも裸なのはどうして」
「……特殊なスーツなんですよ。肌に密着する系の」
「密着しすぎじゃない?」
「最新技術です」
そのうち第三の人物が加わり、戦闘はより複雑――いや、連携はより精緻となった。
「あら、新しいヒーローが来ましたわ」
「援軍ですね。チームものですから」
「チームワークって大事ね」
「ええ、連携が素晴らしい」
ヒーロー三者三様、目的はただ一つ。世界は救わず、ベッドを温める。ややあって画面が暗転し、締めのサックスが嘆息を漏らす。黒地に白い文字が滑り出た瞬間、ようやく映画が――いや、教養が――終わった。
「思っていたのと違ったけれど、あたくし、嫌いじゃなかったわ」
「そうですか」
「ただ、ロボットが思ったほど出てこなかったわね」
「……続編で増えるんでしょう」
「それと、誰が悪役だったのか、いまいち印象に残らなかったわ」
「……内面の葛藤を描く系の作品だったんですよ」
「なるほど。深い映画でしたわね…」
深さとは―― ――。
カネアの受容力は底なしであり、ダニエルの見え透いた弁解はすでに床下を突き破っていた。
「明日、お客様に聞かれたらおすすめするわ。『アイアンマン2、人間ドラマとして秀逸でしたわ』って」
「やめてください」
「どうして?」
「いえ、その、ネタバレになりますから」
「あら、そうね。配慮が足りなかったわ」
配慮とは往々にして、真実を隠す覆いである。
ダニエルがディスクを棚の闇に押し込みながら見上げた天井は、昔から雨漏り一つ変わらぬ灰色だった。嘘も雨漏りも、穴を塞ごうと慌てる前に、まずはバケツを置く場所を正確に覚えなければならない。彼の夜は、その算段で更けていくのだった。
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63文字 編集
41文字 編集
73文字 編集
更新しました🆕下ネタだけどまったくエッチではない
https://pastelcoreme.neocities.org/ss/ss
https://pastelcoreme.neocities.org/ss/ss
345文字 編集
てがろぐ下部に……てがろぐを入れました‼️笑
てがろぐマトリョーシカ
どんだけ😂いや厳密に言うとてがろぐではないが
ほんまにどうでもいいスクショ落書きを気兼ねなく投げ捨てる場所……みたいな
えちえち投稿はワンクッションします
文言はもっとなんとかせえよだが、、いやまあ……えっか!
↑にもリンク置いてる
いやね!自分のてがろぐって自分の好きなものしかない、純度100%ノイズのない空間なので、「自分さん、もっと更新して!」と思いながら自分で一生見ているんですよ
でもタグはあるものの書いたものがどうでもいい呟きで秒で流れていくのはなんか嫌!
そんな自分さんのために試しにミニログを運用してみることに……自分が好きすぎない?
(いやいや、私が好きなのは自分ではなく自分が好きなもの✋
てがろぐマトリョーシカ
どんだけ😂いや厳密に言うとてがろぐではないが
ほんまにどうでもいいスクショ落書きを気兼ねなく投げ捨てる場所……みたいな
えちえち投稿はワンクッションします
文言はもっとなんとかせえよだが、、いやまあ……えっか!
↑にもリンク置いてる
いやね!自分のてがろぐって自分の好きなものしかない、純度100%ノイズのない空間なので、「自分さん、もっと更新して!」と思いながら自分で一生見ているんですよ
でもタグはあるものの書いたものがどうでもいい呟きで秒で流れていくのはなんか嫌!
そんな自分さんのために試しにミニログを運用してみることに……自分が好きすぎない?
(いやいや、私が好きなのは自分ではなく自分が好きなもの✋
https://pastelcoreme.neocities.org/yat42
絵まとめ追加しました
追いついてない🤯
絵まとめ追加しました
追いついてない🤯
11文字 編集
家がボロすぎる

母子……あまりにもかわゆすぎる‼️
ダニカネ子育て三次創作ファンフィクを書きました↓
「あ〜ら〜♡ なぎさちゃん、いい子ね〜♡ お目目パッチリでちゅね〜♡」
雨漏りしたたるリビングに、カネアの聞いたこともない砂糖漬けにしたような甘ったるい声(推定3オクターブ高い)が響き渡っていた。
彼女は腕の中の赤ちゃんを、世界で最も壊れやすい吹きガラスでも扱うように揺らし、熱心に頬ずりしている。
その背後で。
ダニエルは、洗濯物の山を畳みながら、般若のような顔でその光景を睨みつけていた。
(……おかしい。解せぬ)
ダニエルは、畳んだ布オムツを不必要に強く握りしめた。
(あのポジションは……かつて私の指定席だったはずだ。カネア様の腕の中、甘い声、そして『いい子ね』という賛辞。すべて私が独占していたはずなのに……!)
少なくとも彼は本気でそう信じて日々を生きてきたのだ。
「……カネア様」
耐えきれず、ダニエルが低く呼びかける。
「あーん、どうしたの〜? お腹空いたの〜? ママのおっぱい飲む〜?」
「飲みません!! 私です! ダニエルです!!」
カネアが振り返る。その瞬間、彼女の顔が慈愛の跡形もない能面のような無表情になった。
「……何よ。大きい声出さないで。赤ちゃん泣いちゃうでしょ」
「……ッ!!」
この温度差(ギャップ)。
赤ちゃんには春のうららかな日差し、自分には絶対零度のブリザード。
「カネア様……。扱いがあまりに違いませんか? 私にも『いい子ね』くらい言ってもバチは当たらないのでは?」
「はぁ? あんた、いくつよ? 自分で自分のケツも拭けるおっさんが、何を求めてるの」
「おっさん……! 以前は『私の可愛いダニエル』と言ってくださったのに!」
「それは過去の話よ。……今は、この子が世界の中心なの。あんたは……そうね、『衛星』か『デブリ』ですわね」
「デブリ!? 宇宙ゴミですか!?」
カネアはダニエルを無視して、再び赤ちゃんに向き直った。
「でちゅよね〜♡ パパはうるさいでちゅね〜♡ あんな大人になっちゃダメでちゅよ〜♡」
赤ちゃんが「キャッキャ」と笑う。
ダニエルには、その笑顔が「勝ったな。ガハハ」という嘲笑に見えた。
(……くそっ! この……ちっこい新入りめ! 泣いて可愛いアピールをするだけで、カネア様の心を掌握しおって!)
ダニエルは対抗心を燃やした。
自分だって、カネア様を喜ばせることはできるはずだ。
「カネア様! 見てください! 高速おむつ替えの術!」
ダニエルは目にも止まらぬ速さで、ぬいぐるみのオムツを替えてみせた。
「……すごい」
カネアがボソリと言った。
「よし! 褒められる!」
「すごい邪魔。ホコリが舞うからあっち行ってて」
「ガーン!!」
そこに、赤ちゃんが「ぷぅ〜」と小さなおならをした。
「あら〜♡ うんち出たのかな〜? 立派な音ね〜♡ 生きてる証拠ね〜♡」
「なっ……!? 私が屁をこいたら『死刑』と言うのに、こいつがこくと『生きてる証拠』だと!?」
「当たり前でしょ! 赤ちゃんのは天使のラッパ。あんたのは毒ガス」
ダニエルは膝から崩れ落ちた。
完全に負けた。あまりにも雲泥の差だった。生理現象ですら差別される。
「……ううっ……うっ……」
ヒエラルキーの最下層、単なるバクテリアにまで成り下がったダニエルは膝を抱えて、三文芝居の泣き真似を打った。
「……いいんです。どうせ私は用済みの種馬です。ATMです。……誰にも愛されず、孤独に死んでいくのです……」
チラリとカネアの方を見る。
いつもなら「めんどくさいわね」と言って、頭を撫でてくれるはずだ。
しかし。
「……よしよし、なぎさちゃん。パパがいじけてるけど、放置しまちょうね〜」
「放置!?」
「甘やかすとつけ上がるからね〜。男は厳しく育てないとね〜」
カネアは慈愛に満ちた目で赤ちゃんに語りかけ、ダニエルには一瞥もくれなかった。
「カネア様ぁぁぁ!!こっちも見てぇぇぇ!!」
ダニエルがゾンビのように這い寄って、カネアの足首にしがみつく。
「……はぁ」
カネアはようやく溜息をつき、足元の巨大な赤ん坊(アラサー)を見下ろした。
「……ダニエル」
「は、はいっ!」
「あんたねぇ……自分の子供に嫉妬してどうすんのよ。情けない」
「だって……寂しいんです……」
「……バカね」
カネアは、片手で赤ちゃんを抱いたまま、もう片方の手でダニエルの頭をガシガシと撫で回した。
「あんたはこの子とあたくしを、一生かけて守るんじゃなかったの?それが今のあんたの役目でしょ?」
「……! は、はいっ!」
「……ま、この子が寝た後なら……少しは相手してあげなくもないけど」
「!! 本当ですか!?」
「……ただし、この子が起きないように」
「仰せのままに!!」
その夜、ダニエルは赤ちゃんの寝息を気にしながら、声を殺してカネアに甘え倒した。
しかしたった五分後、赤ちゃんが「オギャー!」と泣き喚いた瞬間にカネアが即座に母親に戻り、ダニエルのささやかな楽園は強制閉園したのだった。
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1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37


















































